本記事はプロモーションを含みます。
不動産の査定は、大きく「机上査定(簡易査定)」「訪問査定」「不動産鑑定」の3種類に分かれます。よく名前の挙がる一括査定サイトは査定方法ではなく、複数社へまとめて依頼するための申込み窓口です。相場を知りたいだけなら机上査定、売却を本格的に進めるなら訪問査定、相続や離婚で根拠のある評価額が要るなら不動産鑑定、という使い分けが基本になります。
不動産の査定は3種類|違いを一覧で比較
まず全体像を押さえます。3種類は「精度」「手間」「費用」のバランスが異なるだけで、どれかが絶対的に優れているわけではありません。目的に対して過不足のないものを選ぶことが、結果として損を減らします。
| 種類 | 何をもとに算出するか | 所要期間の目安 | 費用の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 机上査定(簡易査定) | 住所・面積・築年数・間取りなどのデータと、周辺の成約事例 | 当日〜数日 | 無料のことが多い | まだ売ると決めていない/おおよその相場を知りたい |
| 訪問査定(実査定) | 現地の建物状態・日当たり・接道・設備・周辺環境+事例 | 訪問から数日〜1週間程度 | 無料のことが多い | 売却時期がある程度見えている/具体的な価格を知りたい |
| 不動産鑑定(鑑定評価) | 不動産鑑定士が法令に基づき評価。鑑定評価書が出る | 2週間〜1か月程度 | 有料(数十万円規模になることが多い) | 相続・離婚・裁判・税務など第三者に説明が必要な場面 |
費用や期間は物件の種類、地域、依頼先によって変わります。とくに鑑定費用は評価額や物件の複雑さで大きく動くため、依頼前に見積りを取り、最新の金額は依頼先に直接確認してください。
一括査定サイトは「4つ目の種類」ではない
一括査定サイトは、入力した物件情報を複数の不動産会社に同時に送る仕組みです。そこから返ってくるのは机上査定か訪問査定のどちらかであり、査定の中身そのものは上の3種類の枠内に収まります。「一括査定だから精度が高い」ということはなく、比較できる社数が増えるだけと理解しておくと判断を誤りません。
机上査定と訪問査定はどう使い分けるか
机上査定(簡易査定)のメリットとデメリット
- メリット:自宅に人を呼ばずに済む。ネット入力だけで当日〜数日で結果が出る。売るかどうか迷う段階でも気軽に使える
- メリット:複数社の数字を並べやすく、相場のレンジ(上限と下限)がつかめる
- デメリット:建物の傷み、雨漏り履歴、リフォーム歴、眺望や騒音といった個別事情が反映されない
- デメリット:実際の売出価格と数百万円単位でずれることがある。この金額で売れると受け取るのは危険
訪問査定のメリットとデメリット
- メリット:現況を見たうえでの価格なので、売出価格を決める材料として使える
- メリット:境界や越境、接道、再建築の可否など、売却の障害になりやすい点を早い段階で指摘してもらえる
- デメリット:訪問の日程調整が必要で、1社あたり30分〜1時間程度かかる
- デメリット:会社側は媒介契約を取りたいため、その後の営業連絡が増えやすい
訪問査定でよく見られるポイント
工務店の実務目線で言えば、評価が割れやすいのは建物側です。屋根・外壁の状態、給湯器やキッチンなど設備の年式、水まわりの漏れ跡、雨染みやカビ、シロアリ被害の有無、増築部分の確認申請の有無あたりは必ず見られます。過去の修繕履歴や点検記録が残っていれば、当日まとめて出しておくと評価の根拠が伝わりやすくなります。
一般的な流れは、依頼 → 日程調整 → 現地訪問(30分〜1時間) → 数日後に査定書の提示、という順です。査定書を受け取ったら、金額そのものより「どの成約事例を根拠にしたか」「いつまでに売る前提か」を必ず質問してください。前提が違えば金額は簡単に変わります。
一括査定サイトを使う前に知っておきたいこと
メリット
- 1回の入力で複数社に依頼でき、個別に電話やメールをする手間が省ける
- 会社ごとの価格差と、その理由の説明を比べられる
- 地場に強い会社と大手の両方に当たれる場合がある
デメリット・注意点
- 複数社から連絡が来るため、電話やメールの対応負担が増える。連絡手段をメール希望にできるかは事前に確認する
- 媒介契約を取るために高めの金額を提示する会社もある。高い査定額=高く売れる、ではない
- サイトによって提携している会社が異なるため、地域によっては候補が少ないことがある
- 入力した個人情報が複数社に渡る。匿名で相場だけ調べたい段階には向かない
向いているのは「半年〜1年以内に売る可能性が高く、複数社を比較する時間が取れる人」です。逆に、まだ家族で方針が決まっていない、あるいは近所に知られたくない事情がある場合は、まず匿名で調べられる相場情報や、信頼できる1社への机上査定から始めるほうが負担が少なく済みます。
査定額は売却価格ではない|混同しやすい価格の違い
査定で最も誤解が多いのがここです。査定額は「この価格なら期間内に売れそう」という不動産会社の予想であり、保証ではありません。
| 名称 | 意味 | 決める人 |
|---|---|---|
| 査定額 | 一定期間(3か月程度を想定することが多い)で売れると見込む価格 | 不動産会社 |
| 売出価格 | 実際に広告に出す価格。査定額より高めに設定することもある | 売主(あなた) |
| 成約価格 | 買主と交渉した結果、最終的に売買契約で決まった価格 | 売主と買主 |
公的な価格指標との違い
土地には、国が公表する公示地価、相続税の計算に使う路線価、固定資産税の課税標準となる固定資産税評価額など、目的の異なる価格が複数あります。これらは税額計算や行政の基準のための数字で、市場で実際に売買される価格とは一致しません。税金の計算に使う価格と、売却で手に入る価格は別物と切り分けて考えてください。具体的な税額の判断は税理士や税務署に確認するのが確実です。
事情別の使い分けと、査定前にそろえておく資料
ケース別の進め方
- 売るか貸すか迷っている:まず机上査定で売却相場を、あわせて賃貸の募集家賃の目安を調べます。貸す場合は空室期間、管理委託料、修繕費、確定申告の手間が継続して発生する点も比較材料に入れてください
- 相続:相続人が複数いて分け方を決める必要があるなら、不動産鑑定や複数社の訪問査定など、第三者に示せる根拠が役立ちます。名義が被相続人のままでは売却できないため、相続登記の手続きと並行して動きます
- 離婚:財産分与の金額を決める材料になるため、片方だけが依頼した1社の査定だと納得が得られにくい場面があります。複数社、または鑑定を検討する価値があります
- 転勤:期限が決まっているため、訪問査定の際に「この時期までに引き渡す前提ならいくらか」を必ず条件として伝えます。期限が短いほど価格は下がりやすくなります
査定前に用意しておくもの
- 登記事項証明書(権利証・登記識別情報)、売買契約書、重要事項説明書
- 土地の測量図・境界確認書、建物の図面や確認済証・検査済証
- リフォームや修繕の履歴、設備の保証書、点検記録
- マンションの場合は管理規約、長期修繕計画、管理費・修繕積立金の金額
- 住宅ローンの残高がわかる書類(返済予定表や残高証明)
とくにローン残高は重要です。売却価格から残債と諸費用を引いて手元にいくら残るかが、売るかどうかの判断そのものを左右します。諸費用には仲介手数料、登記費用、印紙税、引っ越し費用などが含まれ、売却価格の数パーセント規模になることが一般的です。
まとめ:次にやることは「机上査定で相場のレンジをつかむ」
査定の種類は、相場を知るための机上査定、売出価格を決めるための訪問査定、第三者に説明するための不動産鑑定という3つに整理できます。一括査定サイトはその申込み窓口にすぎず、精度を上げるものではありません。高い査定額を出した会社が最も高く売ってくれるとは限らない点も、覚えておいて損はありません。
次に取るべき行動は1つだけです。まず机上査定で、自宅の相場のおおよその上限と下限を知ること。そのうえで、売却の意思が固まってから訪問査定に進めば、不要な営業対応を抱え込まずに済みます。